「軟膏ヘラ」を上手く使うには薬剤師の技術が必要
軟膏やクリームなどの塗り薬が処方される際、チューブのまま処方されることもありますが、2種類以上の塗り薬を混ぜて渡すよう指示があったり、大きな容器から小さな容器に詰め替えて渡す場合があります。
そのようなときに、塗り薬を混ぜたり詰め替えたりする道具が「軟膏ヘラ」です。
軟膏の混合は、違う種類の塗り薬を混ぜることで数種類の効果を期待するのと同時に、違う剤形の塗り薬を混ぜることで肌への浸透性を良くする効果もあります。大きな皮膚科の門前薬局で毎日大量に軟膏を混合する処方が出るような薬局では、自動で軟膏を混合する機械をおいているところもありますが、多くの薬局では軟膏ヘラと軟膏板を用いて行います。
軟膏ヘラは持ち手の部分が木製でヘラの部分がステンレスでできています。形はケーキにクリームを塗るヘラのような形をしています。軟膏を詰める容器は5g、10g、20g、30g、50g、100gのものが使い分けられることが多いので、大きさによって使い分けられるよう、通常数種類の大きさの軟膏ヘラが薬局には置いてあります。
軟膏ヘラを上手く使うにはコツが必要
新卒の薬剤師では軟膏ヘラをうまく使うことができないことがよくあります。軟膏の詰め方にはコツがあり、容器と軟膏ヘラを同時に動かしながら、容器の側面に沿って軟膏を詰めていくのですが、硬い軟膏などは空気が入りやすく、一度空気が入ってしまうとなかなか出すことができません。
最初に底の角から詰めていくと空気が入りにくくなります。時々容器の底を調剤台でトントンと叩いて空気を抜きます。空気が入っていると側面から見えてしまうこともあります。
数種類の塗り薬を混合する場合には、軟膏ヘラと「軟膏板」と呼ばれる板を使います。軟膏板は木の持ち手に陶器の板がついています。
裏側には調剤台の端で固定できるように木のストッパーが付いており、右側で軟膏ヘラについた軟膏を落とすために陶器の板がむき出しになっている部分があります。
軟膏の混合にもコツが必要
塗り薬の混合はこの軟膏板の上に塗り薬を出し、軟膏ヘラで練って混合します。軟膏の混合にもコツがあり、軟膏などの硬いものは上から押しつぶすよう、こまめに軟膏ヘラを動かして混合します。手首のスナップをきかせてリズムよく混ぜるのがポイントです。
クリームなどの柔らかいものは優しく混ぜていきます。綺麗に混ざって色ムラがなくなったらきちんと混ざっている証拠です。軟膏同士の混合ではきちんと混ざると空気が入って白っぽくなります。
軟膏の混合は時間がかかりやすく、かと言って素早さだけを求めると混合がきちんと行われず期待される効果が得られなくなってしまいます。軟膏ヘラを正しく使って素早く均一に混合することが重要です。
同じカテゴリー内の記事一覧
- 薬局でも「輪ゴム」は大活躍
- 「軟膏絞り器」でニュルっと気持ちよく絞り出す
- 「コーヒーミル」で錠剤を粉砕
- 「篩(ふるい)」で粉剤した錠剤を取り除く
- 「薬包紙」の使用頻度は減ってきた
- 「薬価本」には薬の薬価が記載されている
- 「薬札」と書いて「ヤクサツ」と読む
- 「散薬分包機」は「Vマス」と「円盤」がメイン
- 薬局では「メートルグラス」で液体を測りとる
- 薬局の「はかり」は種類が豊富