「プラセボ」は偽薬?いえ、効果は期待できます
本来は効果が無いものを、効果があると言って患者に投与する薬剤を「プラセボ」といいます。
現実には、プラセボを院外処方で処方することは認められておらず、処方箋として出すことはできないので、出される際は何かしらの効果がある薬剤を違う効果があると言われて処方します。
プラセボが使われる一番多い科は精神神経科です。精神神経科にかかっている人は薬を服用することによる安心感から症状が落ち着く場合も多いため、薬の服用し過ぎを防ぐためにもプラセボが使われることがあります。
このような場合、院内では全く作用がない乳糖が出されるのですが、院外処方の場合だと整腸剤や消化酵素など服用しても体に大きな影響を及ぼさない薬が処方されることがよくあります。
プラセボが処方されると、患者に本来の効果が別のものであることが分かってはいけないため、薬局側はかなり気を使います。薬の説明書きにある効果効用を全て削除したり、うっかり以後の対応で薬の本来の効果が患者に伝わってしまわないように記録を残したりします。
薬局では「この患者さんのビオフェルミンはプラセボだから気をつけてね。」などと言うように使います。
プラセボという言葉は一般的には聞きなれないかもしれませんが、「プラシーボ」「プラシーボ効果」という言葉であれば、耳にしたことがある方も多いかもしれません。
偽物の薬で良いのか?
悪い言い方をすると「プラセボ」は「偽物の薬」と捉えられてしまいます。「偽物の薬にお金を支払うのか!」と思われる方もいるかもしれません。
ただしここで本来の目的を思い返してほしいのです。体のどこかしらの調子が悪く、治したくて病院に行きます。診察の結果、薬を薬局から処方され、服用します。この行為は全て「体の不調を治したいから」です。
そのため、体の不調が改善されるのであれば、ある程度はどのような方法でも良いはずなのです。
偽物でも「「薬を飲めば安心する」、「効いた気がする」ということで、実際に回復しているケースは数多くあります。無理に体に負担がかかる薬を服用する必要もありません。「「病は気から」という言葉があるように、人間の思い込みに働きかけることは実は重要なことなのです。
だからこそプラセボを、「「この薬は症状を改善させる効果がある!」と思い込ませるのも、薬剤師の1つの技術と言えるのかもしれません。
効果には個人差がある
プラセボによる効果は個人差が大きく出ます。あくまでも心理的に作用するもののためです。
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