薬剤師求人 薬剤師が転職を成功させるまでの流れと注意
約7割が1度は転職したことがあるというほど、薬剤師の世界で転職は一般的なものとなっています。つまり、転職には「成功と失敗」があるのです。なるべく成功確率を上げるためにも、以下の事に注意してください。
薬剤師求人を探す方法
薬剤師が転職をする時の方法はいくつかありますが、大きく分けると「自分で探す」のか「専門家に探してもらう」のかのどちらかになります。どちらにせよ、次の5つの方法のいずれかで探すことになるでしょう。
5つのポイント
- 薬剤師求人サイトで探す ☆☆☆☆☆
- ハローワーク(職業安定所)で探す ☆
- 卒業大学を利用して薬剤師求人を探す ☆
- チラシや求人誌で薬剤師求人を探す ☆☆
- 知り合いの紹介で薬剤師求人を探す ☆☆☆
1番のおススメ方法は「薬剤師求人サイトで探す」でしょう。
求人サイトに登録して待っていれば、求人サイトのスタッフ(コンサルタント)が、希望通りの求人案件を複数提示してくれます。提示された案件の中から、好きな物を選ぶことができます。気に入ったものがなければ断ることも自由です。
複数の転職サイトに登録した方が良い
また、求人サイトを利用されるのであれば、複数の求人サイトに登録をしておいた方が良いと思います。
複数の求人サイトに登録しておくことで、好条件の求人情報を集められる確率が上がるためです。どの求人サイトも無料で利用できるため、少なくても3つくらいには登録しておきたいところです。
⇒複数の求人サイトに登録する理由
⇒求人サイトが無料で利用できる理由
履歴書の準備・自己紹介PR文例
複数の採用担当者からの話では、履歴書はあくまでも「面接のときに話をするための材料程度でしかない」と話していました。
必要項目が書かれていて、どの学校の出身で、どの薬局に勤めていたのか。履歴書には当然書くことですよね。それらの事が書いてあれば、履歴書で合否を決めることはまずありません。
採用で特に重要視する点は、履歴書に書かれていることよりも、面接でしっかりと受け答えができるかどうかです。特に薬局やドラッグストアの場合、接客することが重要な仕事の1つとなります。患者に対し薬の説明をする必要が出てくるため、コミュニケーション能力は重要視されます。
ただ、現在は極度の人手不足ということもあり、余程コミュニケーション能力が低くない限り、採用する可能性は高いということです。また、そこまで重要視されない履歴書ですが、不安な方は転職サイトのスタッフが書き方を教えてくれます。
転職内定後の流れと注意点
面接を受けしばらくすると面接の結果が届きます。
ここで注意点。転職を希望する薬剤師の多くは、1つだけではなく、2つ、3つと複数の会社の面接を受けていることが多いです。複数受けることで比較することができ、少しでも条件の良い転職先が見つけやすくなるためです。
自分にとって条件の良い転職先を見つけるために、以下の4つの項目を注意すると良いでしょう。
複数面接を受けた方は、内定をもらった会社をよく吟味しましょう。そして一番自分に合うと思った内定先に入職する旨を伝えましょう。その後、内定をもらった会社へは、断りの連絡を入れるようにしましょう。
※内定を断る際にはしっかりと誠意のある対応を心掛けることをおススメします。どこでどのようにつながっているか分からず、悪いうわさが広がりかねないためです。
転職するときに必ず確認すること
転職するときに、必ず契約内容を確認するようにしましょう。
転職する方の多くは、何かしらの原因があって転職することになります。
- 給与が低い ⇒ 具体的な数字で確認
- 残業代が出ない ⇒ 残業代が出るのか確認
- 時間外労働をしたくない ⇒ 時間外労働がないか確認
- 通勤時間が長い ⇒ 通勤時間が考えている範囲内か確認
- 土日休みがない ⇒ 土日休みにしてくれるか確認
まず、面接を受ける以前にこれらのことは確認しましょう。また、少しでも気になることがあれば確認する必要があります。
もし、自分で聞きづらいときには、転職サイトのコンサルタントが代わりに聞いてくれるので聞いてもらいましょう。
そしてここからが大事です。必ず契約内容は書面にしてもらうようにしましょう。
そのように思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
もし書面にしないと、入職後、話が変わってきてしまう可能性があります。後々、自分を苦しめる可能性があるのです。書面にしてもらうことで、抑止力となるのです。
自分の身を守る為にもくどいようですが必ず書面でもらうようにしましょう。
円満退職の方法と準備
転職、もしくは離職する際には、なるべく「円満退社」をしたいものです。特に、退社をした後も薬剤師として働くわけですから、なるべく業界内に変な噂は広げたくないものです。特に同じ地域の会社に転職するときには尚更です。どこでどのように繋がっているか分かりません。
このようなことからも、円満退社をして損をすることはありません。
退社の意向を示すと、大抵引き止められます。「辞めさせない」と言われることもあります。
実際に良くある話です。
しかし辞めさせないといった権利は、どの経営者にもありませんので安心してください。
雇用契約書をしっかり確認しよう
ただし、例えば雇用契約書のようなものが存在し、雇用期間が明確に定められた書類にサインをしており、その期間内に辞めるという場合には、何かしらのトラブルになる可能性もあります。
もし退社するにあたり困ったことがあったら、転職サイトのスタッフに相談すると良い解決方法を教えてくれます。
まとめ
簡単にまとめますと以下の通りです。
- 薬剤師転職サイトに登録する
- 条件を転職サイトのスタッフに伝える
- 複数の求人を提案してくるので、その中から選ぶ
- 必要とあれば転職サイトのスタッフに条件交渉をしてもらう
- 面接の日程を決めてくれるので面接する
- 内定が出る
- 現在の職場に退職の意向を示し退職
- 新しい職場で働き始める
転職サイトを利用すれば、転職サイトのスタッフが全て段取りをつけてくれるので、仕事をしながらでも楽に転職活動をすることができます。
採用が決まった薬剤師に必要な手続きとは
「薬剤師の円満退社の方法と準備」も参考にしてみてください。
退職の手続き
転職するときには、まず、勤めている会社へ退職届を提出しなければなりません。退職理由は「一身上の都合」で良いです。どこかに転職するとか、ここが嫌になったとか、細かく理由を言う必要はありません。
労働基準法では「退職する日の2週間前に退職の意思を示す」ということで問題はないのですが、実際には、もっと日数がかかってしまうことがあります。
それは、現在抱えている仕事の引き継ぎや、新たな人材を補充をするための時間確保と言った絡みがあります。
そのため、薬局経営者数人の話では、「辞める2ヶ月~3ヶ月前には退職する旨を教えてほしい」ということでした。また、就業規則に退社するときの決まりが書かれているはずなので、その辺りを確認しておくと良いでしょう。
退職するときに返却するものと受け取るもの
退職するときには、会社から支給されたアイテムを返却しましょう。例えば次のものです。
返却するもの
- 社員証・IDカード
- 名刺
- 制服(白衣)
- 健康保険被保険者証
- 定期券
- その他会社から支給されたもの
基本的に、業務で使用していたものはすべて返却する必要があります。例え、自分で作成した資料やデータだとしても、会社に所属していた中で作成したことになる為、返却することになります。
万が一、返却しなかったら違法行為となってしまいます。
反対に会社から受け取るものは次の通りです。
受け取るもの
- 薬剤師免許証
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 年金手帳
これらの書類を受け取るようにしましょう。次の仕事先に提出する必要があるためです。
普段使用することのない書類ばかりですので、難しいかと思います。万が一書類に不備があってトラブルになるのも面倒ですので、転職サイトのコンサルタントからアドバイスを受けるとスムーズに事が進みます。
引き止められた場合
薬剤師は人手不足であり、新しく人材を探すこと自体、とても難しいものです。このようなこともあり、退職の意思を示すと引き止められることがあります。
内定が出た後でも、引き止めに応じるのも、応じないのも自由です。ただし、転職活動を行った時点で何かしらの原因を持っているはずです。この辺りを天秤にかけてみて、転職した方が良いのか、そうではないのかを正しく判断するようにしましょう。
新しい勤務先の手続き
新しい勤務先に移るためには、今までいた会社を退職してからでなくてはいけません。そのため場合によっては、数週間、もしくは数ヶ月先になることも珍しくありません。
そのため、少なからず新しい勤務先には待ってもらうことになりますので、一言伝えておいた方が良いでしょう。
『引き継ぎをおこなうため、入職は〇月からお願いします。』
この程度伝えられれば問題ありません。たった一言ですが、何も言わないのと少しでも言うのとでは大きな違いです。
逆に、すぐに退職してきたら、嬉しい反面、疑いも持たれることもあります。
「引き継ぎはどうしたのだろう?まさか何もしないで辞めてきたのか?そうなるとここでも同じように・・・」
いずれにせよ、会社を辞めるときには少なからず引継ぎが必要となるでしょう。内定が出たと言ってもすぐには新しい職場に行くのは難しいこともあります。なるべく円満に退社するためには、キリの良い所まで業務を行っていく方が良いでしょう。
退職時にトラブルになったら
責任を持って引継ぎをするのは良いことです。しかし、例外もあります。
例えば何かしらのトラブルで、精神的にも肉体的にも追い詰められていた場合。引継ぎがどうとか言っていられない場合もあります。
また、結婚している場合に、パートナーの転勤で引っ越しをしなければならない時や、急に親の介護をしなくてはならない時には、事情が事情ですので、引継ぎがどうとか言っていられませんので、すぐに退社してしまっても良いかと思います。
そういった時には、「労働基準法」「労働契約法」あたりが関係してくるかと思います。
とは言っても、素人ではなかなか解釈することが難しいと思います。
そのため、法律の専門家に助言をもらったり、代理人となってもらうことも1つの方法と言えます。アドバスを求めるだけであれば、大抵1時間5000円の相談料がかかるのみです。
あまり自分に負担をかけず、専門家の知識を活かすことも必要かもしれません。
薬剤師が転職するときに内定の断り方・注意点
例えば第一志望の会社に内定が決まった場合。その他で内定が出たとしても第一志望の会社を選ぶことになると思います。そのため、その他の会社には辞退の申し出をする必要があります。
誠意ある行動をしよう
内定を辞退する場合には、なるべく早く、そして丁寧に断ることを心がけましょう。
求人を出している会社は、人材が欲しくて求人を出しています。つまり、内定の断りをすれば、すぐにまた求人募集を出すわけです。内定の断りをしない限り、新たな求人募集をかけられないのです。
また、面接をしてくれるということはその時間を割いてくれています。その時間を使えば他の仕事ができたかもしれないのに、転職希望者のために時間を割くわけです。
そのようなこともあり、社会人のマナーとして内定を断るのであれば、なるべく早く伝えたほうが良いでしょう。
ただし、「断る」という行為自体、抵抗がある人もいます。そういった時には、転職サイトのコンサルタントに代わりに断ってもらっても良いでしょう。これも転職サイトのコンサルタントの仕事の内ですから。
薬剤師の業界内は広いようで狭い
薬剤師の業界は広いようで狭くもあります。そして、人の入れ替えが激しいため、情報が外に漏れることもあります。そのため、悪い噂も広がってしまうことがあります。
内定が出たのに、何の連絡もしなかったり、不義理な行為をしてしまうと、その噂が広がらないとも限りません。くれぐれも「第一志望の会社の内定をもらったから、他は無視していいや」とは思わないようにしましょう。薬剤師の世界は、どこでどう繋がっているか分かりません。
ということもあり、薬剤師として働いていくのであれば、たとえその会社で働かないとしても、誠意ある行動を心がけましょう。
内定の断り方
自分で断る場合
内定を断る方法は「電話」で結構です。会社側からしてみたら一番困るのが「返事がないこと」です。そして「返事が遅い」のも困ります。なので、なるべく早く返事をしてもらえれば、その手段は特には問いません。
ただし、会社のホームページの問い合わせフォームや、メールアドレスに断りの連絡を入れるのは絶対にやめましょう。いつ見てもらえるか分からないというのと、非常識と取られかねません。
直接出向いて、内定の断りをするのも1つの方法です。ただし、会社側としても日々の忙しい業務の中で時間を作るのは簡単ではありません。
なので、一番の方法は電話で内定を断る旨を伝え、直接理由を説明しに行くことが丁寧だと思います。とは言っても、実際は電話で断ればそれで伝わり、直接行くことは拒否されるケースがほとんどです。
転職サイトのコンサルタントに断ってもらう場合
転職サイトを利用しているのであれば、内定辞退の連絡は、転職サイトのコンサルタントが行ってくれます。
薬剤師の求人を出す会社としても、求人募集を出すのは初めてというわけではないケースが多いため、コンサルタントから連絡があったとしても、そこまで気にしません。
薬剤師が転職するときに必ず確認すること
これらの作業は面倒なものなのですが、しっかりとしておかないと、年収が大きく左右する可能性もありますし、仕事自体が過酷なものになる可能性もあります。
そのため、大変だとは思いますが、1度チェックしてみたほうが良いでしょう。
今までの経歴を振り返っておく
履歴書を書くため、そして、面接の際に話をするために、今まで薬剤師としてどのような所で働き、どのような業務内容をおこなって来たのかを、あらためて自分の中で振り返ってみると良いでしょう。
特に薬剤師を採用する際に重要視するのが「コミュニケーション能力」です。しっかりと目を見て話をすることができるのかということを、採用側はチェックしています。
そのため、自分が経験してきたこと、つまり「今までの経歴」を聞かれた際、戸惑ってしまうと、採用側としても不信感を抱いてしまいます。そのようなこともあり、ある程度、思い返してみると良いでしょう。
もし経験したことでも忘れてしまったことがあった場合には、正直に「忘れた」と話した方が良いでしょう。下手に話を作ると分かる人には分かってしまいます。特に毎日多くの患者さんと接している現場の薬剤師は、人を見る目が養われているため、見抜かれてしまうためです。
持っている免許・資格類のチェック
薬剤師として働くわけですから、最低限、薬剤師免許は持っていると思いますが、その他にも関連した免許を持っていれば転職の際に有利に働く可能性があります。
例えば、認定薬剤師、介護支援専門員、公認スポーツファーマシスト等、薬剤師の業務に関連した資格は数多くありますが、それらを保持しているのであれば、積極的にアピールした方が良いでしょう。
また、「自動車の運転免許」を持っているのも1つのポイントです。在宅医療を取り入れる薬局が増える中、自動車での移動が必要となってくるためです。
一番大事 労働条件の確認
転職する際に必ずチェックしておいてもらいたいのは「労働条件」です。薬剤師の場合、雇用主との交渉することで、労働条件が変わりやすい職種でもあります。同じ会社内で働いていても、労働条件が異なる薬剤師が混在することも珍しくありません。
混在してしまうと、経営者や上司も誰がどのような条件なのか見失ってしまうことがあります。
働き始めて「こんなはずじゃなかった・・・」「初めの話と違う・・・」とならないように、働き始める前に、必ず確認し、書面にしてもらうことをおススメします。
書面にする項目としては以下のものは最低限確認しましょう。
- 労働契約の期間
- 働く場所・仕事内容
- 始業・終業時刻
- 休日・休暇
- 賃金
- 退職
- 割増賃金
- 通勤交通費
- 就業に関する諸経費
- 手当・昇給・賞与・退職金
- 研修期間・試用期間
- 社会保険
- 休職について
- 契約更新の条件
- 転勤や異動・転籍や出向
細かいように思えますが、トラブルなく、そして、ストレスなく働くためには必要なことだと思います。
もし、これらの項目が初めの話の内容や契約と内容が変わってしまった場合、しっかりと会社側と話をした方が良いでしょう。転職サイトを利用して転職しているのであれば、転職サイトのスタッフに申し出ることで、代わりに交渉を行ってくれます。
カンチから一言!「細かいことだけどとても大事」
トラブルが起こった状態では、仕事に大きく影響し、その職場では働きづらくなってしまうことでしょう。
なので、転職の際には必ず面倒でも、条件を書面にしておいた方が良いでしょう。もし自分ではその作業自体が苦痛であったり時間かかるということであれば、転職サイトのスタッフに任せてしまう方が楽だと思います。
薬剤師が転職で内定が決まった時に保留にする注意点
第一志望の会社の合否の結果が一番初めに出てくれれば良いのですが、そうでないこともあります。そういった時には、第一志望の結果が出るまで、その他の会社には待ってもらうことになります。
ただし、内定を出した会社からしてみると、すぐにでも返事をもらいたいと思っているわけなので、あまり長く待たせるもの失礼に当たります。
ここでは、既に内定が出た会社への返事を一旦保留にする時の方法を紹介しています。
内定を保留するには
就職活動でも転職活動でも、多くの人が複数の会社の面接を受けることになるでしょう。その中でも第1希望は存在すると思います。
複数の会社の面接を受けたとき、第1希望以外の会社から先に内定をもらうと言ったことは良くあることです。
そういった場合には、第一志望の結果が出るまで、「保留の意思を早い段階で示した方が良い」でしょう。
内定を保留する際には、直接相手方の所へ足を運ぶ必要はありません。電話で連絡すれば良いです。逆に直接会社に行くと、「なぜ内定を保留するのか?」と聞かれる可能性が高くなるためです。
もし相手方に内定保留の理由を聞かれたとしても「第一志望の結果待ち」などと、正直に言う必要はありません。『他の所が本命で、あなたは滑り止め』と言われて嬉しく思う会社はないですからね。
そのため、色々言い方はあるかとは思うのですが、例えば以下の通りです。
- 『初めての転職のため、良く考えたいので、来週返事させてもらってもよろしいでしょうか?』
- 『面接を受けさせてもらったのですが、家族と相談したいため、来週返事させてもらってもよろしいでしょうか?』
- 『自分の中で整理したいため、来週返事させてもらってもよろしいでしょうか?』
この際、相手から『他の会社も受けましたか?』と言われることもあるかもしれません。そういった場合には、『はい、他も受けさせてもらっていて、その点も含めて考えさせてください。』と正直に話してみても良いでしょう。
ただ、相手側からそう聞いてくるのはあまりないため、先に挙げた3つの例のように返答してしまって良いでしょう。
避けたい返事の仕方としては、『しばらく待ってください』という表現は避けたほうが良いでしょう。「しばらくってどのくらい?」って思ってしまいますので。「来週」や「3日」といった具体的な期限を設けると相手も安心します。
内定は保留しすぎないようにしよう
内定がすでに出ているのにも関わらず、あまり長い間保留しすぎてしまうと、失礼に当たります。失礼と言うよりも相手としても困ってしまうのです。また、自分としても待たせている会社があるわけですから、返事を保留にしている間はずっと気になってしまうことでしょう。
例えば第一志望の会社の結果が長い間出なかったとします。その場合、その間はずっと他の内定を保留にし続けているということになります。長い間保留にし続けられた結果、「やっぱりそちらでは働けません」何て言われたらどう思うでしょうか?良い気分はしないですよね。
薬剤師の業界内は広いようで狭いため、そういった情報が漏れてしまう可能性もあります。
「あの人は散々待たせた挙句、結局断ってきた。人としてどうなんだろうか」と。
そういった噂は広めたくないものですよね。
また、薬剤師の求人を出す会社は、今すぐにでも来てもらいたいという思いの会社ばかりです。今回が駄目なら次の求人を出さなければなりません。
もちろん、転職は非常に重要なことですので、自分本位で考えるべきなのですが、なるべく保留の期間は、自分にとっても相手にとっても短い方が良いと思います。そのため保留をするならば1週間程度にしておいた方が良いでしょう。もしその間に第一志望の会社から連絡がないようでしたら、直接問い合わせてみても良いでしょう。
人材が欲しいと思っているのであれば、どの会社からも返事はすぐに来るものです。長い間、結果が出ない会社は会社内の組織や、本当に人材が欲しいのかと疑ってしまいます。
困ったときには転職サイトのスタッフに頼る
内定が出た後にしばらく保留にしたいと思っている場合、自分で全て対応しなくても、転職サイトのコンサルタントに頼ってしまうと良いでしょう。
しばらく内定を保留にしたいと考えているのであれば「先方にしばらく保留にしたいと伝えておいてもらえませんか?」と言うだけでOKです。
転職サイトのコンサルタントは、数多くの転職者に関わってきています。同じようにな状況は良くあることです。転職サイトも薬局やドラッグストア、病院との繋がりを良いものにしたいため、先方の気分が害さないよう、上手く説明してくれます。
また、転職サイトの主な仕事の1つが「転職を希望する薬剤師の代理人」です。そのため、転職活動が終わるまで都合の悪いことは全て代理でしてもらうことができます。
このようなこともあり、薬剤師が転職するときには転職サイトを利用した方が良いでしょう。
薬剤師の円満退社の方法と準備
薬剤師の場合、特に転職が多い職種ですので、退社をする機会も多いかと思います。また、退職して同じ業界内である薬剤師として働くわけですから、あまり悪い噂を広めたくはないという思いもあるでしょう。
そのためにも、なるべく円満退社をした方が良いでしょう。
では、円満退社をするためには、どのような方法を取った方が良いのかお話したいと思います。
まずは新しい転職先を決めてから
勤務先を退社するとき、もしくは退社の意向を伝える際には、新しい職場への入職が決まってからにするようにしましょう。
新しい職場への入職が決定していない状況で、退職の意志を示したり退職してしまうと、万が一、転職できなかった場合に自分を追い込んでしまうだけです。
この辺りの事を、もう少し詳しくお話したいと思います。
転職先が決まる前に退社の意思を伝える
退社の意思を伝えるパターンとしては2通りあります。「新しく転職先が決まってから」もしくは「転職先が決まる前」のどちらかです。結論から言いますと、「新しい転職先が決まってから退社の意思を伝えるようにした方が良い」でしょう。
会社の考え方や上司の考え方にもよりますが、「退職する」と言われて喜ぶことはまずありません。特に人手不足で新しい人材を探すのが困難な薬剤師の世界では、人材が抜けることは経営にマイナスに響くためです。
そのため、良い顔をされることはないでしょう。良い顔をされないこと自体、円満退社とは意味合いが異なってきてしまいます。
転職先が決まる前に退社をする
新しい転職先が決まる前に退社をしてしまうのは、いささか危険です。
もしも、「しばらく働かない期間があっても良い。それはそれで休憩時間だ。」という思いがあるのなら良いのですが、「すぐにでも仕事をしなければいけない」という思いがあるのなら、転職先を退社前に決定していたほうが良いでしょう。
薬剤師の場合、人手不足の世の中なので、まったく職場が見つからないといったことはありません。ただし、「なるべく条件の良い所ですぐに働きたい」という思いがあるのなら、退社する前に、複数の転職先を比較し、少しでも良い条件の会社を選び、そして内定をもらった状態で退社した方が、心的なストレスが軽減されると思います。
転職をほのめかすのはアリ?ナシ?
「転職」の2文字をほのめかすことで、会社側が労働条件を見直してくれる可能性は十分にあります。
薬剤師が一人抜けることで、経営上、大きな損失となってしまうためです。
例えば薬局の場合、薬剤師1人に対して処方箋40枚と言う決まりがありますが、薬剤師が1人抜けてしまうと、単純に処方箋40枚分の利益が無くなってしまうということになります。更に、ドラッグストアの場合、薬剤師がいなければ薬の販売ができなくなることがあります。そのため、開店休業状態に追い込まれてしまい、やはり利益が上げられなくなってしまいます。
さらに、薬剤師が抜けてしまった時に、新しい薬剤師を雇いたいと考えた場合。例えば薬剤師を転職サイトを通じて紹介してもらった場合には、薬剤師の年収の30%前後を紹介料として支払うことになります。数百万円単位の出費となるのです。
このようなこともあり、多少条件を良くしてでも、退職希望の薬剤師を引き止めようとすることが多いのです。
とは言っても、退職の意思表示をすることは危険でもあります。この辺りを上手に行動しないと、「駆け引き感」が強く出ることになってしまいます。駆け引きは働く者にとって労働条件を良くするためには重要なことなのですが、上手く行わないと悪い印象を持たれかねません。
そのため、労働条件が良くなり転職をせずに元の会社に残ったとしても、今まで通りの気持ちで勤務ができるかどうか疑問ですし、周りからの目も今までとは違ったものになることでしょう。
さらに、その後、結局退職するときにも円満退社となるかどうか疑問です。
詳細に退社理由を伝える必要はない
転職先も決まり、いざ辞めることになった場合。退職届を出すわけですが、退職届に退職理由を書くことになるでしょう。
円満退社を望むのであれば、退職理由を「一身上の都合」とするのが無難な方法と言えます。
もし退職理由が「〇〇薬局に就職するため」や「人間関係に問題があり」、「労働条件に不満があり」だったとしても、「一身上の都合」にすべて含まれるため、ある意味便利な言葉なのです。
もし理由を聞かれた場合にも、「一身上の都合」で通したり、言葉を濁したり、取ってつけたような理由にしても問題ありません。
ちなみに退職届ですが、遅くても退職の2週間前には提出しましょう。ただし、複数人の薬剤師の話からすると、「できれば2ヶ月~3ヶ月前に教えてくれると、新しい人材の確保や引き継ぎに大きな支障が出ない」という声がありました。会社の「就業規則」にも退職関連の項目が設けられていると思いますので、チェックしてみましょう。
大抵引き止められる
薬剤師が退職するとなると、大抵引き止められます。例えば理由が結婚や出産、育児だったとしても、「少しでも働けないか?」と退職は引き止められることでしょう。それほど、薬剤師は人手不足なのです。
言葉巧みに引きとめてくる上司もいると思いますが、この辺りは、辞める本人の意思次第です。本気で辞めたいと思っているのであれば、例えどんな言葉を並べられても辞めることでしょう。引き止める言葉に迷うようであれば、もしかしたらまだ、本気ではないのかもしれません。
ただし、一度「辞める」という言葉を口にした時点で、今までのような雰囲気で仕事ができるかと言うと疑問が残ります。
引き継ぎはなるべく迅速丁寧に
引き継ぎはどうしても時間のかかる作業となります。引き継ぐ相手は、同僚、もしくは代わりの人材となることでしょう。
引き継ぎはスムーズに行く時とそうでない時があります。そのため、余裕を持って退職前の2ヶ月~3ヶ月前に退職の意思を伝えたほうが良いかと思います。
また、繁忙期に引き継ぎ業務が入ってくると、業務上、かなりの労力となる為、繁忙期は避けたほうが円満退社に繋がることでしょう。
辞めさせてくれないというのは会社都合
退社の意思のある薬剤師を一番悩ませるのが「会社が辞めさせてくれない」と言うことです。
結論から言いますと、「会社に辞めさせないという権利はありません」。会社都合の発言です。
そもそも、1人薬剤師が退社するからと言って、困るような会社システムにしておく方が問題なのです。労働基準法でも退職は自由にできるよう決められています。労働者の権利なのです。
「代わりの人材が見つかるまで退職を待ってくれないか」というお願いをされることもあります。もちろん、こういった場合でも自由に辞めることはできるのですが、今まで働いてきた義理を果たす意味である程度、辞めるまでの猶予を伸ばすのも良いかもしれません。それでも期限を決めるようにしましょう。「〇〇までに代わりの人材を見つける。見つけられなかった場合でも退職する。」という条件を約束してもらうようにするのです。
また、転職先にも待ってもらうよう依頼する必要があります。もしも転職先が「待てない。他の人材を探す。」と申し出てくる可能性もありますので、その辺りはしっかり自分で判断するべきでしょう。