薬剤師の使うスプーン 「スパーテル」「薬さじ」
粉薬を容器から取り出して量り取る際などに使用するスプーンのことを「スパーテル」もしくは「薬さじ」といいます。
薬事法で定められている薬局開設の際に必要とされる器具の一つであり、本来は薬匙と書いて「やくし」と読みます。現在では「やくし」と呼ぶ人はあまりおらず、スパーテル、薬さじといった呼び名で通っています。
スパーテルは大きい物から小さいものまで3種類ほど販売されていますが、多くの薬局では中くらいの大きさのものと小さいものの2種類が置いてあります。
用途によって使い分ける
形状は通常のスプーンより柄の部分が長く、スプーンの部分が浅く作られています。スプーン部分は柄の両側にあり、大きいものと小さいものがついています。小さいスパーテルの場合だとスプーン部分と逆側に小さなヘラがついているものもあります。
材質については薬事法で「金属製のもの及び角製又はそれに類するもの」と定められていますが、現在では「ステンレス製のもの」と「プラスチック製のもの」をそろえている薬局がほとんどです。角製のスパーテル自体見たことがありません。プラスチック製のものは金属製だと腐食してしまう恐れのある薬品に使用するため置いてあります。
スパーテルの形は調剤がしやすいように工夫されています。柄の部分が長いので、底の深い容器からでも簡単に粉薬を取り出すことができますし、スプーン部分が浅くなっているので粉薬を少量ずつ調節することができます。薬の中には結晶状になっているものもあり、結晶状の薬は調剤の際に潰して均等になるようにする必要があります。結晶を潰す際にはスパーテルの裏側で押しつぶします。浅い形をしているので力がかかりやすく楽に潰すことができます。
スパーテルの大きい側では中に入れることができないような小さな瓶に入っている薬品の場合には小さい側が活躍します。小さい側を使うことで0.1g以下の調節も可能になります。
錠剤を割る時には裏面を使ったりも
その他にもスパーテルは粉薬を容器から出す以外に様々な使い方をします。
柔らかく錠剤の真ん中に線が入っている錠剤を割ることもできます。スパーテルの大きい側を裏返し、丸みの頂点に錠剤の端を固定し、固定したのと逆側を親指で押すと錠剤を半分に割ることができます。また小さい方の側は分包機に粉薬をならす際のヘラとしても使うことができます。付属のヘラではうまくならすことができないような少量の粉薬を調剤しなくてはいけない場合、スパーテルの小さい側をヘラの代わりに使用することで均一にならしてまくことができます。
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