50代薬剤師 3店舗経営

記事内には広告が含まれています。
今回は、50代の薬剤師さん(男性・既婚)にインタビューに答えていただきました。

現場で薬剤師として活躍する一方、経営者として3つの薬局を経営されてもいます。

 

薬剤師の仕事を大まかに言うとどのようなことをするのでしょうか?(薬局・ドラッグストア・病院・製薬会社)
薬剤師の仕事は、一般的に思われているよりも多岐に渡ります。いわゆる薬局の中で行う仕事は全体の仕事の5分の1程度のもので、外に出て活動することもあります。

門前薬局・調剤薬局と区別されているように思われますが、厳密に言うと全て「薬局」です。薬局と言うのは「調剤することができる設備を持っている」ことであり、調剤できる施設を持っていない場合には「薬店」と言います。

包括ケアシステム問制度があり、医師などと連携して地域貢献を行う仕事も行います。

また、なかなか外出することができないお年寄りのために、在宅訪問を行うことも重要な仕事の1つです。薬を届けたり、体調の確認を行うのです。この際に届ける薬や点滴によって、生活が送れている方もいるので、人の命を繋ぐ重要な業務と言えます。

処方箋に疑問を持つことはありますか?持ったときにはどうしますか?
やはり処方箋に疑問を持つことはあります。納得が言ったうえで調剤を行うようにしています。もし疑問を持ったときにはまず、患者さんの前回の記録と照らし合わせます。過去、どのような薬が処方されていたのかを見るわけです。その上で納得がいけば処方箋通りに処方しますが、やはり疑問を持ったときにはお医者さんに疑義照会を行います。

基本的にはお医者さんの指示を尊重するわけですが、万が一、間違って処方してきた可能性もありますので、トラブルを避けるためです。

結果として、処方箋が変わることもあります。

また、患者さんによっては、今までの薬に安心感を覚えている方もいます。同じような成分でも、薬が変わっただけで効かなくなったと思われる方もいるくらいです。お薬の効き目は気持ちが3割とも言われるくらいなので、患者さんが納得し、安心した薬を処方することが大事だと思っています。

利用者が多い薬局とそうでない薬局があると思いますが、病院の来院数によるものでしょうか?
やはり、病院の利用者が多ければ近くにある薬局の利用者も多くなります。
病院の来院数が少ない場合、門前薬局を撤退することはできるのでしょうか?
やむを得ないですが、撤退することはあります。今までも撤退した薬局をいくつも見てきました。
そもそも門前薬局とは病院と何か契約をしているのでしょうか?
特に契約と言うわけではありませんが、例えば、私の場合、以前大きな病院内の薬局にいました。その時、独立するお医者さんがいて、それを機に、私も独立をしました。

このように、知り合いのお医者さんが独立するから、一緒に独立する薬剤師もいます。また、病院ができる噂を聞いたら、その経営者に直接お話をしに行くこともあります。

どのような人が薬剤師に向いていると思いますか?
真面目な人が多いといった印象です。
どのような人が薬剤師に向いていないと思いますか?
真面目ではない人。また、転職を繰り返す人は向いていないかもしれません。
離職率はどの程度でしょうか?
離職率は高いです。他の仕事を知りませんが、薬剤師の世界は女性が6割ですので、結婚、出産、育児があることで、どうしても離職率が高くなります。

また、薬剤師不足のため、薬局では高待遇で薬剤師を募集しています。今勤めている薬局よりも待遇が良い所を見つけると移動する人も結構います。

辞めた人は何が原因で辞めたのでしょうか?
色々ですね。結婚・出産・育児は代表的ですが、他の薬局に移動するといったケースも当然あります。人間関係と言うのもありますね。
辞めた人はその後も薬剤師として働いているのでしょうか?
そうですね。
どのような人を採用したいですか?どのような人と働きたいですか?理由は?
職業観を持っている人が良いですね。「待遇が良いから来た」と言う人は、案外長続きしません。つまり、薬局に思い入れがあってくるというよりも、お金や労働条件に関心があってくるわけなので。勿論気持ちは分かりますが。
書類選考ではじくことはありますか?理由は?
まずありません。必ず面接を行います。

薬剤師は人と話をすることが多いです。患者さんに対して薬の説明をしますからね。毎日多くの患者さんに接していて、その人の特徴を瞬時に見抜くようにしています。

なぜなら、病院で待たされ、やっと薬局に来たのにまた待たされる。早く帰りたい。そう思っている人は多く、薬の説明を手短に終わらせてもらいたいと思っている方も少なくない一方、じっくり説明を受けたいと思われる方もいます。

いずれにせよ、その患者さんがどういったタイプなのかをすぐに判断し、適切な対応を取るようにします。そういったこともあり、人を見抜く力が勝手に身に付いてきます。

そのため、書類上ではどうしてもわからないので、しっかりとコミュニケーションができる人なのかを、直接面接することで判断します。

今までで「こういった人とは合わなかったなぁ」という方はいますか?噂でも結構です。
前述しましたが、職業観が合わない人ですね。
人手不足と言われていますが、実感しますか?
物凄く感じます。まずなかなか人材を確保することができません。
どの年代の就職・転職が多いですか?男女比は?
どの年代も多いですが、女性が多い職場ですので、20代後半から30代前半の女性の方が辞めるケースはどうしてもありますね。
どのくらいの人数の薬剤師がいれば、円滑に店舗は回っていくのですか?
店舗の大きさ、患者さんの数にもよりますが、少なくても3人以上は欲しい所です。
薬剤師にとってのキャリアアップとは何ですか?
薬剤師会や医師会での研修は、結構頻繁に行われています。それらに出席し勉強することは一つのキャリアアップだと思います。意欲のある薬剤師には、薬局が出張費用を負担し、勉強に行ってもらうようにします。
薬局等で働きながら、キャリアアップは出来るものですか?
研修を受けるという面では、キャリアアップできるかと思います。ただし、薬局の経営方針にもよると思います。経営者が研修を重要視していなければ、そこで働く薬剤師は研修に行くことができません。

正確に言いますと、研修に行くことは勤務時間外であれば行けると思います。ただし自腹になってしまいます。そうなってしまうと、積極的に研修に参加することができにくくなるかもしれません。

男性と女性の割合はどのくらいでしょうか?
女性が6に対し、男性が4程度でしょうか。
産休や育休に入られる方がいるとは思いますが、その代わりとして誰か採用をするものでしょうか?
できれば採用したいです。産休・育休が終わったら戻ってきてくれるという話を受けていれば、それまでの間、働いてくれる薬剤師を探します。ただ人手不足なので、なかなか思うように集めることはできません。

そのため、一人欠けた状態で数年頑張ることもあります。

薬剤師の収入の形はどのようなシステムになっているのですか?
病院と同じで診療報酬です。
求人を出すときには、どういった媒体を活用するのでしょうか?(薬剤師求人サイト・ハローワーク・大学・知り合い・チラシや求人誌)
薬剤師会のホームページに求人を出すことはあります。また、就職説明会にも参加することがあります。また、一般的な薬剤師求人サイトやハローワーク、大学、求人誌に求人を掲載することはあります。
どの媒体が一番効果がありますか?
まず効果がないのはハローワークです。そもそも、薬剤師が人手不足なため、ハローワークに行かなくても、すぐに仕事は見つかるためです。

やはり求人サイトが人を集められるとは思いますが、紹介料がとても高いので、気持ちは複雑です。また、求人サイトを利用する人は、求人サイトのコンサルタントが求人を探し、それを待つだけです。つまり、自分から必死で探すわけではありません。

気持ちの持ち方だと思うのですが、やはり自分で必死に探してきた人の方が長続きします。求人サイトを利用した方は、少し気に入らないと、次があるからと言った感じで辞めていくことがあります。

それでも、こちらとしても、薬剤師が不足しているので、来てくれるだけで嬉しいのです。

他の薬局が提示している条件が気になりますか?対抗しますか?(雇用条件)
やはり気になりますね。
求人募集をすると、すぐに応募があるものですか?
なかなかないです。
求人サイトを利用していますか?
3つか4つの求人サイトを利用しています。やはりなんだかんだ言っても効果はあるかと思います。紹介料が高いですが・・・。
薬剤師求人サイトの場合、就職したら年収の30%前後を紹介会社に渡すという話ですが、本当ですか?そして、妥当ですか?そんなに高い金額を支払ってでも求人サイトに登録し求人する必要があるのですか?
そうですね。求人サイトにもよりますが、薬剤師の年収の25%~35%を支払います。妥当かどうかは分かりませんが、やはり高いです。それでも薬剤師が足らないので、やむを得ないと言ったところです。
求人サイトのコンサルタントから連絡があったり、直接来たりしますか?
やはり営業はあります。求人サイトを使いませんか?と。ほとんど電話ですが、たまに来ることもあります。
薬剤師求人サイトの存在をどう思いますか?
上手く表現できませんが、薬局経営者からしてみるとモヤモヤしてしまいます。
薬剤師求人サイトを活用されている場合ですが、どの求人サイトを活用していますか?
ナースではたらこ等です。
自分からコンタクトを取ったのですか?求人サイト側からコンタクトを取ってきたのですか?
両方です。
登録は、各薬局単位で行うものですか?それとも薬剤師協会単位で行うものなのでしょうか?
会社として行います。
出身大学を採用段階で考慮されますか?
全く考慮しません。必要なのは薬剤師免許です。どの大学を卒業したとか全く関係ありません。
薬剤師を正社員の場合、どのくらいの月収・年収になりますか?アルバイトの場合はどのくらいの時給になりますか?
よく求人を見ると思うのですが、かなり数字のマジックがあると思います。

各種手当てがどの程度含まれているのか?研修費用はどうなっているのか?

本当の数字を出している所もありますが、全てをしっかりと確認した方が良いと思います。

薬剤師業界に不満はありますか?(こうなったらもっと良くなるとか)
不満はありますね。矛盾も感じます。今まで薬科大学が4年生だったのを6年生にしたわけです。それにより薬剤師への道を閉ざした方もいると思います。それだけで人手不足に繋がります。

更に、国家試験の問題をいくつか教えてもらったことがありますが、現場の人間から見るとちょっとズレている気がします。これにより、試験に不合格になる方もいるでしょう。

更に診療報酬が下がっています。これにより、薬剤師の成り手が少なくなると感じます。

全ての人が門前薬局で薬をもらうのでしょうか?
全てとは言いませんがほとんどの人が、病院の近くの薬局で薬をもらうでしょうね。
これから就職・転職しようとしている方に、リクルートを成功させるためには、どのようなことが重要・必要だと思いますか?
大学で勉強している内容が国家試験で出てくるかと言うとそういったわけではありません。なので、就職以前に国家試験の対策を頑張ってください。

国家試験にさえ合格すれば、人手不足の世界ですので、就職が難しいということはないと思います。

正社員とアルバイト、どちらが欲しいですか?
状況によって異なりますが、まずは長く勤められる人が一番欲しいです。そのため、正社員・アルバイト、どちらでも来てくれれば助かります。
薬剤師が辞めるときに、どのくらい前に言ってくれれば円滑に退職することができますか?(代わりを採用する前?採用した後?)
やはり2ヶ月ほど前に言ってくれた方がありがたいです。その間に代わりの人を探しますが、なかなかタイミングよく見つかることはないですけどね。
色々な場所に薬局がありますが、全く同じ薬がストックされているのでしょうか?
病院の先生には薬の好みがあります。なので、薬局によって若干おいてある薬の種類は違うと思います。

以上のように、どの現役薬剤師に聞いても、「薬剤師は人手不足」という声が聞かれました。このことからも、上手く転職活動をすることができれば、条件面で優遇され快適に仕事をすることができるでしょう。

そのためにも「転職サイト」を活用し、できるだけ多くの情報を集めると良いかもしれません。


[interview]        
記事のタイトルとURLをコピーする